WordPressのサーバー移転は、ファイルとデータベースの両方を移行する必要があるため、静的HTMLサイトと比べて手順が複雑になります。手順の順序を間違えると、サイトが表示されなくなったり、画像リンクが壊れたりするトラブルが起きます。

この記事では、WordPressのサーバー移転をスムーズに進めるための手順と注意点を整理します。

移転前に確認すること

作業を始める前に、現在の環境と移転先の条件を確認しておきましょう。

現在の環境を把握する

旧サーバーの情報と、現在のWordPressの構成を整理します。

移転先サーバーの要件を確認する

新サーバーが現在のWordPressに必要な環境を満たしているか確認します。特にPHPバージョンは、旧サーバーから大きく上がるとプラグインとの互換性に影響することがあります。

ドメインのDNS設定を確認する

DNS切り替えを自分でコントロールできる状態かどうかを確認します。TTLを事前に短縮しておくと、切り替え後の反映が速くなります。

DNS切り替えの1〜2日前に、TTLを300〜600秒に変更しておきましょう。デフォルトが3600秒や86400秒に設定されているサーバーでは、変更前に切り替えると反映に24〜48時間かかることがあります。

移転の手順

全体の流れは次のとおりです。DNS切り替え前に新サーバーでの動作確認まで完了させることが、最も重要なポイントです。

1. 新サーバーを契約し、WordPressをインストールする

新しいレンタルサーバーを契約し、コントロールパネルにアクセスできる状態にします。移転期間中は旧サーバーも解約せず、並行稼働させておきます。

新サーバーにWordPressを仮インストールしておきます(データの上書きインポートが前提なので、内容は問いません)。データベースの接続情報(ホスト名・ユーザー名・パスワード・データベース名)をメモしておきましょう。

2. 旧サーバーのWordPressをバックアップする

バックアップにはプラグインを使う方法と手動で行う方法があります。プラグインを使う方法の方が手順が少なく、インポート時の互換性も高いためおすすめです。

プラグインを使う方法(推奨):

All-in-One WP Migrationプラグインを使うと、ファイルとデータベースを一括でエクスポートできます。旧サーバーの管理画面からプラグインをインストールし、エクスポートしたファイル(.wpress形式)をダウンロードしてください。

手動でバックアップする方法:

ファイルはFTPでサーバー上のWordPressフォルダ(通常はpublic_htmlまたはwww以下)を丸ごとダウンロードします。データベースはphpMyAdminなどのツールを使ってSQL形式でエクスポートします。

3. 新サーバーにデータをインポートする

手順2でバックアップした方法に合わせて、以下のいずれかの方法でインポートします。

All-in-One WP Migrationを使う場合:

新サーバーのWordPressにAll-in-One WP Migrationプラグインをインストールし、手順2でエクスポートしたファイルをインポートします。完了すると、テーマ・プラグイン・記事・画像がすべて復元された状態になります。

手動でインポートする場合:

FTPでダウンロードしたファイルを新サーバーにアップロードします。次に、phpMyAdminで新しいデータベースを作成し、エクスポートしたSQLをインポートします。インポート後、wp-config.php内のデータベース接続情報(DB_HOST・DB_USER・DB_PASSWORD・DB_NAME)を新サーバーのものに書き換えます。

4. hostsファイルを書き換えて動作確認する

DNS切り替え前に、自分のパソコンだけを新サーバーに向けて確認できます。PCのhostsファイルに次の形式で記述すると、そのPCだけ新サーバーのIPアドレスにアクセスできます。

新サーバーのIPアドレス  example.co.jp
新サーバーのIPアドレス  www.example.co.jp

確認が終わったら必ずhostsファイルの追記を元に戻してください。

5. 新サーバーでSSLを有効化する

DNS切り替え前にSSL証明書を取得・有効化しておきます。Let's Encryptによる無料SSLが設定できる状態にしておくことで、DNS切り替え後すぐにHTTPSで表示できます。

6. WordPressのURLをデータベースで確認する

All-in-One WP Migrationでインポートした場合はURLが自動変換されますが、手動インポートの場合はデータベース内に旧サーバーのドメインが残っていることがあります。

WP-CLIが使える場合は、次のコマンドでURLを一括置換できます。

wp search-replace '旧ドメイン' '新ドメイン' --skip-columns=guid

WP-CLIが使えない場合は、「Search Replace DB」などのWebツールを使う方法もあります。

7. DNSを切り替える

新サーバーでの動作確認が完了したら、ドメイン管理会社の設定画面でAレコードまたはネームサーバーを新サーバーに向けます。

TTLを事前に短縮しておいた場合は30分〜1時間程度で反映されます。DNSの反映が完了したら、hostsファイルの書き換えなしにブラウザで正常に表示されることを確認してください。

8. 旧サーバーを解約する

新サーバーでの動作確認が完了し、1〜2週間問題なく稼働していることを確認してから旧サーバーを解約します。

解約前に、旧サーバーのWordPressにまだ接続してくる古いキャッシュがないかを確認しておくと安心です。

よくある失敗と対処

WordPressの移転でよく起きるトラブルとその対処方法をまとめます。

画像や内部リンクが壊れる

WordPressのデータベースには旧ドメインのURLが埋め込まれています。手動インポート後にURLの一括置換を行っていない場合に起きます。手順6のURLの置換を実施してください。

WordPress管理画面にアクセスできない

wp-config.phpのデータベース接続情報が誤っている場合に起きます。ホスト名・ユーザー名・パスワード・データベース名の4項目を新サーバーの情報に合わせて再確認してください。

サイトは表示されるがWordPressのスタイルが崩れる

サイトアドレス(URL)の設定が旧ドメインのままになっている場合があります。データベースのwp_optionsテーブル内のsiteurlhomeの値を確認し、新サーバーの正しいURLに更新してください。

PHPバージョン変更後にプラグインが動かない

旧サーバーで動いていたPHPバージョンと新サーバーのバージョンに差がある場合、プラグインやテーマが対応していないことがあります。問題のあるプラグインを特定するため、プラグインを一時的にすべて無効化し、一つずつ有効化して確認してください。

まとめ

WordPressのサーバー移転はファイルとデータベースの両方を正しく移行し、DNS切り替え前に新サーバーでの動作を確認しておくことが成功のポイントです。

All-in-One WP Migrationなどのプラグインを使えば手順を簡略化できますが、手動移行の場合はURLの置換とwp-config.phpの設定変更を忘れずに行ってください。作業に不安がある場合や業務システムが絡む場合は、専門家に手順の確認を依頼することをおすすめします。