「ドメインとDNSが分からなくて、サーバー変更のときに困った」という話はよく聞きます。IT担当者がいない会社では、制作会社や前任者に任せきりになっていて、ドメインやDNSの管理状況が分からないことも少なくありません。
この記事では、サーバーとドメインを管理するうえで必要なドメイン・DNSの基礎知識を整理します。
ドメインとは
ドメインとは、インターネット上の「住所」にあたる文字列のことです。
たとえばexample.co.jpのような形式で、Webサイト(https://example.co.jp/)やメール(info@example.co.jp)のアドレスとして使います。
ドメインの種類
主な種類と年間費用の目安は次のとおりです。取得できる条件もドメインによって異なります。
| 種類 | 概要 | 取得費用の目安(年間) |
|---|---|---|
.co.jp | 国内の企業向け(日本国内法人のみ取得可能) | 3,000〜4,000円 |
.jp | 日本国内の個人・法人向け | 2,500〜3,500円 |
.com | 世界的に広く使われる汎用ドメイン | 1,000〜2,000円 |
.net .org など | 用途に応じた汎用ドメイン | 1,000〜2,500円 |
法人サイトでは.co.jpまたは.jpが信頼性の面で好まれますが、.comも一般的です。
ドメインの管理会社
ドメインはレジストラと呼ばれる会社から取得・管理します。代表的なドメイン管理会社には次のようなサービスがあります。
- お名前.com
- ムームードメイン
- スタードメイン
- さくらのドメイン
- バリュードメイン
重要: ドメイン管理会社とレンタルサーバー会社は別の会社であることが多いです。どこでドメインを管理しているかを把握していない場合は、請求書やメール履歴から確認しましょう。
DNSとは
DNS(Domain Name System)は、ドメイン名をIPアドレスに変換する仕組みです。
インターネット上の各サーバーは数字のIPアドレス(例:203.0.113.1)で識別されますが、人間には覚えにくいため、example.co.jpのようなドメイン名を使います。DNSはこのドメインとIPアドレスの対応表を管理しています。
あなたがブラウザでexample.co.jpと入力すると、裏側で次のことが起きています。
- DNSサーバーに「
example.co.jpのIPアドレスは何?」と問い合わせる - DNSサーバーが「203.0.113.1」と返す
- そのIPアドレスのサーバーにアクセスしてページを取得する
主なDNSレコードの種類
DNS設定には「レコード」という設定項目があります。代表的なレコードを理解しておきましょう。
Aレコード
ドメインをIPアドレスに対応付けます。最も基本的なレコードです。
例:example.co.jp → 203.0.113.1(Webサーバーのアドレス)
Webサイトをサーバーに向けるときに設定します。サーバーを移転するときは、このAレコードの向き先を新サーバーのIPアドレスに変更します。
MXレコード
メール(Mail Exchange)の転送先を指定します。
例:example.co.jpのメールはmail.example.co.jpに転送する
このレコードがあることで、info@example.co.jp宛のメールが正しいメールサーバーに届きます。サーバー移転時にMXレコードを変更し忘れると、メールが届かなくなります。
CNAMEレコード
あるドメインを別のドメイン名に転送します。
例:www.example.co.jp → example.co.jp
wwwあり・なしを同じサーバーに向けたい場合などに使います。
TXTレコード
テキスト情報を設定するレコードです。メール認証(SPF・DKIM・DMARC)の設定や、Google Search ConsoleなどのサービスでのドメインIDの確認に使われます。
ネームサーバー(NS)
ドメインのDNS設定を管理するサーバーを指定します。ドメイン管理会社の設定画面で変更できます。
サーバーを変える場合、ネームサーバーごと新しいサーバー会社のものに変更するか(ネームサーバー変更方式)、ドメイン管理会社のDNS管理画面でAレコードだけを変更するか(Aレコード変更方式)のどちらかの方法を選びます。
TTL(キャッシュ時間)について
TTL(Time To Live)はDNSレコードのキャッシュ時間を表す値です。
TTL = 3600であれば「このDNS情報を3600秒(1時間)キャッシュしてよい」という意味です。DNSを変更したとき、TTLの時間が経過するまで古い情報がキャッシュされ、変更が反映されません。
移転前の準備として: DNS変更の1〜2日前にTTLを短い値(300秒〜600秒)に変更しておくと、切り替え後の反映が早くなります。
よくある失敗と対策
ドメインやDNSのトラブルで多いパターンと、それぞれの対処方法を整理します。
ドメイン管理会社が分からない
メールアドレスに来ている請求メール、クレジットカードの明細、または取引先の制作会社に確認しましょう。whoisサービスでドメインの登録情報を検索する方法もあります。
DNSの管理画面にログインできない
パスワードリセット機能を使うか、制作会社や前任者に確認します。複数の会社にドメインが分散している場合もあるため、すべてのドメインの管理状況を一覧化しておくことをおすすめします。
メールが届かなくなった
多くの場合、MXレコードの設定ミスが原因です。ネームサーバーを変更した場合、新しいDNS設定にMXレコードが含まれていなかったケースが多いです。旧サーバーのMXレコードを確認して、新しいDNS設定に同じ内容を追加してください。
www ありと なし で別ページに見える
AレコードかCNAMEレコードで、www.example.co.jpとexample.co.jpの両方を同じサーバーに向けてください。
まとめ
ドメインとDNSを理解しておくと、サーバー移転や新規サービス導入のときに迷いにくくなります。
特に、ドメイン管理会社のログイン情報と、AレコードおよびMXレコードの設定内容は、事前に把握しておくことをおすすめします。
現在の設定が分からない、または変更の仕方に不安がある場合は、作業前に専門家に確認してもらうのが安心です。