サーバー移転は、新サーバーにサイトをコピーして動作を確認し、DNSで公開先を切り替え、最後に旧サーバーを解約する流れです。先に旧契約を止めると、サイトやメールが使えなくなるため、新旧を並行して動かす期間を設けます。

基本的な順番は次のとおりです。

  1. Web・メール・DNSのうち、何を移すか確認する
  2. 新サーバーにデータと設定を用意する
  3. 表示・フォーム・SSLなどを確認する
  4. 最終データを反映してDNSを切り替える
  5. 新環境の動作と旧側の残データを確認して、旧契約を終了する

メールがGoogle Workspaceなど別のサービスにあるなら、Webサイトだけを移すこともできます。

現在の契約から移転範囲を切り出す

最初に、現在のサーバーが提供しているものを洗い出します。Webサイトだけでなく、メール・DNS・バックアップ・SSL・定期処理が同じ契約に含まれている場合があります。サーバーを解約した後に消える機能を特定し、新しいサーバーへ移すものと外部サービスへ残すものを分けます。

ドメインの登録先とDNSの管理先も別々に確認します。制作会社の管理画面から操作できても、契約名義が自社とは限りません。移転先の準備より前に、現在のサーバー・ドメイン・DNSへ継続してログインできる状態を作ります。この時点でメールの管理先が別なら、Web移転の対象から外してDNSレコードを維持します。

新旧環境を並行して動かす工程を作る

移転期間中は、新しい契約を開始しても旧サーバーを解約しません。新環境へデータを置き、限定した端末から動作確認した後に公開先を切り替えます。問題があれば旧環境へ戻せるよう、切り替え前のDNS設定とデータを保存します。併用費は無駄ではなく、戻れる時間を確保する費用です。

コピーが成功しても、フォームの送信や予約処理まで動くとは限りません。データの移行と、機能の確認は分けて考える必要があります。

フォームなら送信者と受信者の両方、予約なら登録と通知まで確認します。サイトの更新が続く場合は、最終コピーの時刻と公開担当への停止依頼も決めます。新旧へ更新が分かれる期間を短くします。

DNSを変える前に新環境を確認する

新サーバーでは、実際のドメインを使う前提で表示と機能を確認します。サーバーが提供する確認URLだけでは、HTTPSやドメイン依存の設定を再現できないことがあります。hosts設定や事業者の検証機能を使う場合は、その端末だけが新環境へ接続する点に注意します。確認後もhosts設定を残すと、通常のDNSの結果を確認できなくなるため、元に戻します。

確認する対象は、主要ページ・管理画面・フォーム・画像・リダイレクト・定期処理です。WordPressならファイルとデータベースが同じ時点かを確認します。メールを移す場合は別の切り替え計画を用意します。SSL証明書をDNS切り替え後にしか発行できないサービスでは、その条件を工程へ入れ、警告を出さない代替手順を事業者へ確認します。

DNS切り替えは変更点を最小にする

Webだけを移すなら、メールのMXや送信認証を不用意に変えません。ネームサーバーごと変更する場合は、現在のDNSレコードを新しい管理先へ再現してから委任を切り替えます。AやAAAAだけを変える場合も、wwwなど関連する名前を確認します。どの方式を使うかは現在のDNS管理と移転先の案内に合わせます。

TTLを短くすると古い情報がキャッシュされる時間を減らせますが、変更前のTTLが残っている間は直ちに効きません。固定の反映時間を前提にせず、複数の接続元から新旧どちらへ到達するかを確認します。切り替え時刻・変更前後の値・実施者を記録し、問題時に戻す値をすぐ使える状態にします。

切り替え後は利用者の結果まで確認する

DNSが新しい値を返しただけでは移転完了ではありません。社外回線から主要URLを開き、証明書とリダイレクトを確認します。

フォームやログインは実際に操作し、通知メールや保存データまで追います。監視サービスの通知先も新環境を見ているか確認します。管理者だけの表示確認で業務処理を代用しません。

旧サーバーのアクセスと更新も一定期間確認します。古い向き先へ利用者が到達している間に投稿や注文が入る構成なら、差分を新環境へ反映する方法が必要です。エラーログと問い合わせを見ながら完了条件を満たしたか判定します。問題があれば、原因と業務影響からDNSを戻すか新環境で直すかを決めます。新環境で注文や問い合わせを受け付けた後は、そのデータを先に保全します。DNSを戻すだけでは、新しく増えたデータは旧側へ移りません。

旧契約は回収と記録を終えてから止める

旧サーバーを解約する前に、最終バックアップと設定記録を取得します。請求データや過去メールなど、Web以外の保存物が残っていないかも確認します。新環境で一定期間の業務確認を終え、旧環境へ接続する必要がなくなった時点で解約します。日数は固定せず、サイトの利用周期と契約期限から決めます。

制作会社に移転を依頼した場合は、新しい契約先や管理画面、次回更新日も引き継いでもらうと、移転後の問い合わせ先に迷わずに済みます。Webだけでなくメールや定期処理も新しい構成で使えていることが、旧サーバーを安心して解約する目安になります。