「バックアップを取っていなかったせいで、サイトが元に戻せなかった」という事例は珍しくありません。WordPressの誤操作、不正アクセスによる改ざん、サーバー障害──こうした状況でバックアップがあれば数分〜数時間で復旧できますが、なければゼロから作り直しになります。
この記事では、レンタルサーバーのバックアップ設定と、実際に復元が必要になったときの手順を整理します。
バックアップが必要な理由
バックアップは、データを失うリスクに対する保険です。法人サイトで特に想定すべきリスクを確認しておきましょう。
WordPressの誤操作
テーマ・プラグインのアップデートや、コードの直接編集ミスによってサイトが表示されなくなることがあります。バックアップがあれば、直前の状態に戻せます。
不正アクセスによる改ざん
WordPressは攻撃の標的になりやすく、マルウェアを埋め込まれたり、フィッシングページを設置されたりすることがあります。バックアップがあれば、改ざんされたファイルを上書きして復旧できます。
データベースの破損
サーバーの障害やプラグインの不具合によってデータベースが破損し、サイトが表示されなくなることがあります。バックアップからデータベースを復元することで対処できます。
サーバーの自動バックアップ機能を確認する
まず、契約しているサーバーの自動バックアップ機能の仕様を確認しましょう。
確認すべき項目
自動バックアップの有効化状態と仕様を把握します。
- 自動バックアップが標準で有効か、または設定が必要か
- バックアップの取得頻度(毎日・週次など)
- バックアップの保持期間(7日・14日など、何日分保持されるか)
- バックアップ対象の範囲(ファイルのみ・データベースのみ・両方)
- 管理画面から自分で復元できるか、または申請が必要か(有料復元の場合がある)
主要なレンタルサーバー(エックスサーバー・ConoHa WINGなど)はファイルとデータベースの両方を自動バックアップする機能を提供しています。ただし、保持期間が短い(7日や14日)ため、問題が発生してから時間が経った場合には役立たないことがあります。
バックアップ復元の練習をしておく
障害が実際に起きてから初めてバックアップ復元を試すと、操作に戸惑ってリカバリーに時間がかかることがあります。定期的に「どこから復元できるか」「どの手順で復元するか」を確認しておくと、いざというときに冷静に対処できます。
WordPressのバックアッププラグインを設定する
サーバーの自動バックアップに加え、WordPressのプラグインで独立したバックアップを取っておくと、より確実です。サーバー自体に障害が起きた場合にも、別の場所にバックアップが保存されています。
UpdraftPlusの設定方法
UpdraftPlusは、WordPressのバックアップとして広く使われているプラグインです。無料版でもファイル・データベースの定期バックアップとDropbox・Google Driveへの保存が可能です。
設定の基本手順:
- WordPress管理画面の「プラグイン → 新規追加」から「UpdraftPlus」を検索・インストール・有効化する
- 「設定 → UpdraftPlus バックアップ」を開く
- 「バックアップスケジュール」でファイルとデータベースの取得頻度を設定する(週次・毎日など)
- 「リモートストレージ」でDropboxまたはGoogle Driveを選択し、連携設定を行う
- 「今すぐバックアップ」で手動バックアップを取り、バックアップファイルが正常に作成されることを確認する
バックアップの保存先を外部ストレージ(DropboxやGoogle Drive)にすることで、サーバーに障害が起きた場合にもバックアップデータが失われません。
バックアップから復元する手順
実際にバックアップから復元が必要になった場面での手順を説明します。
サーバーの自動バックアップから復元する
サーバーの管理画面で提供されているバックアップ復元機能を使います。操作方法はサービスによって異なりますが、概ね次の流れです。
- サーバー管理画面のバックアップ・復元メニューを開く
- 復元したい日時のバックアップを選択する
- 復元対象(ファイルのみ・データベースのみ・両方)を確認して実行する
- 復元完了後、サイトが正常に表示されるかを確認する
復元を実行すると、現在のデータが上書きされます。誤って最新データを失うリスクがあるため、復元の前に現在のデータのバックアップを取ってから実行することをおすすめします。
UpdraftPlusから復元する
UpdraftPlusで取得したバックアップから復元する場合は、WordPress管理画面から操作できます。
- 「設定 → UpdraftPlus バックアップ」の「既存のバックアップ」タブを開く
- 復元したいバックアップの「復元」ボタンをクリックする
- 復元するコンポーネント(プラグイン・テーマ・アップロードファイル・データベースなど)を選択して実行する
- 復元完了後にサイトの動作を確認する
WordPress管理画面にアクセスできない状態(データベース接続エラーなど)の場合は、FTPでバックアップファイルを手動でアップロードし、phpMyAdminでデータベースを手動復元する方法になります。
バックアップの運用ポイント
バックアップは取得するだけでなく、継続的に機能させておくことが重要です。
複数の場所に保存する
バックアップはサーバー上だけでなく、外部ストレージ(DropboxやGoogle Drive)にも保存することで、サーバー障害時にも安全です。「3-2-1ルール」(データのコピーを3つ持ち、2種類のメディアに保存し、1つはオフサイトに置く)が基本です。
バックアップ取得の確認を定期的に行う
設定したつもりのバックアップが実は失敗し続けていたというケースがあります。月に1回程度、バックアップファイルが正常に作成されているかを確認する習慣を持ちましょう。
サイトを大きく更新する前に手動バックアップを取る
WordPressのメジャーアップデートやプラグインの大幅な変更を行う前は、自動バックアップのスケジュールを待たずに手動バックアップを取っておくと安心です。
まとめ
バックアップはトラブルが起きるまで価値が見えにくいですが、一度データを失うとその重要性を痛感します。サーバーの自動バックアップ機能の確認とWordPressのバックアッププラグインの設定を組み合わせることで、複数の保護レイヤーを作ることができます。
バックアップの設定状況が不明な場合や、設定方法に不安がある場合は、専門家に確認してもらうことで抜け漏れを防げます。