レンタルサーバーの管理画面で「PHPバージョンを更新してください」と表示されても、すぐに切り替えてよいのか迷う担当者は多いです。PHPはWordPressや問い合わせフォームなどの動作に関わるため、古いまま放置するのも、準備なしに更新するのもリスクがあります。この記事では、中小企業のWeb担当者向けに、PHPバージョン更新前の確認項目と安全な進め方を整理します。

PHPバージョン更新が必要になる理由

PHPはサーバー側で動くプログラムの実行環境です。WordPressを使っているサイトでは、管理画面の表示、記事ページの生成、フォーム送信など多くの処理に関係します。

古いPHPを使い続けると、セキュリティ修正が受けられなくなったり、新しいWordPressやプラグインが対応しなくなったりします。レンタルサーバー会社が古いPHPの提供を終了することもあるため、更新は避けて通れない保守作業です。

一方で、PHPを新しくすると古いテーマやプラグインのコードが動かなくなる場合があります。更新作業は「新しいものに切り替える」だけではなく、現在のサイトが新しい環境で問題なく動くかを確認する作業だと考えてください。

更新前に確認する項目

PHPの切り替え前には、サイトの状態を把握しておくことが大切です。特にWordPressサイトでは、テーマとプラグインの互換性が問題になりやすいです。

WordPress本体とプラグインの状態

まずWordPress本体、テーマ、プラグインが長期間更新されていない状態ではないか確認します。数年間アップデートされていないプラグインは、新しいPHPでエラーを出す可能性があります。

管理画面に更新通知が多く残っている場合は、いきなりPHPを切り替える前に、バックアップを取ったうえでWordPress側の更新を進めます。ただし、古いテーマに強く依存しているサイトでは、WordPress本体の更新だけでも表示崩れが起きることがあります。制作会社に依頼した古いサイトでは、無理に一括更新せず、検証環境で確認するのが安全です。

使用中のPHPバージョン

現在どのPHPバージョンで動いているかは、レンタルサーバーの管理画面やWordPressのサイトヘルス画面で確認できます。古いバージョンから一気に最新へ上げる場合、互換性の問題が出やすくなります。

サーバーによっては、ドメイン単位やディレクトリ単位でPHPバージョンを変更できます。複数サイトを同じサーバーで管理している場合は、1つのサイトだけを更新するつもりでも、同じ設定範囲にある別サイトへ影響することがあります。

バックアップと復元方法

PHP更新前には、ファイルとデータベースの両方をバックアップします。WordPressの場合、画像やテーマファイルだけでなく、記事本文や設定を保存しているデータベースも必要です。

自動バックアップが有効になっていても、復元方法まで確認しておくことが重要です。バックアップはあるが管理画面から戻せない、復元に追加料金がかかる、復元依頼に時間がかかるというケースもあります。更新前に「問題が出たら元に戻せるか」を確認しておくと、作業中の判断がしやすくなります。

安全に更新する手順

PHP更新は、できるだけアクセスが少ない時間帯に行います。問い合わせや予約が多いサイトでは、営業日の日中を避けたほうが落ち着いて確認できます。

  1. 現在のPHPバージョンと変更予定のバージョンを記録する
  2. WordPress本体、テーマ、プラグインの更新状況を確認する
  3. ファイルとデータベースのバックアップを取得する
  4. 可能であれば検証環境でPHPを切り替えて動作確認する
  5. 本番環境のPHPバージョンを変更する
  6. 主要ページ、問い合わせフォーム、管理画面の動作を確認する
  7. 問題が出た場合は元のPHPバージョンに戻すか、原因のプラグインを切り分ける

検証環境を用意できない場合でも、作業前のバックアップと作業後の確認は省かないでください。小規模な会社サイトであっても、問い合わせフォームが止まると機会損失につながります。

更新後に見るべき画面

PHPを切り替えた直後は、トップページだけでなく、実際に業務で使う画面を確認します。見た目が表示されていても、フォーム送信や管理画面の一部だけが動かないことがあります。

公開ページの表示

トップページ、会社概要、サービス紹介、料金ページ、お問い合わせページなど、主要なページを確認します。WordPressでは、固定ページと投稿ページで使っているテンプレートが違うことがあるため、種類の異なるページを複数見るのが現実的です。

表示崩れ、エラーメッセージ、真っ白な画面が出ていないかを確認します。スマートフォン表示も忘れずに見てください。PHP更新そのものがCSSを壊すわけではありませんが、テーマ側のエラーで一部の読み込みが止まることがあります。

問い合わせフォームとメール送信

会社サイトでは、問い合わせフォームの動作確認が特に重要です。テスト送信を行い、送信完了画面が出るか、管理者宛の通知メールが届くか、自動返信メールが届くかを確認します。

フォームプラグインが古い場合、PHP更新後に送信処理だけ失敗することがあります。フォームの見た目だけを確認して終わらせず、必ず実際に送信してください。

WordPress管理画面

管理画面にログインし、投稿一覧、固定ページ編集、メディアライブラリ、プラグイン一覧を確認します。更新後に管理画面だけエラーが出る場合、特定の管理機能を追加するプラグインが原因になっていることがあります。

エラーが出た場合は、エラーメッセージを控えてから対応します。画面の文言をそのまま保存しておくと、サーバー会社や制作会社に相談するときに状況を伝えやすくなります。

複数サイト運用で気をつけること

1つのレンタルサーバーで複数サイトを運用している場合、PHP設定の適用範囲を必ず確認します。管理画面の仕様によっては、サーバー全体、ドメイン単位、サブドメイン単位、ディレクトリ単位で設定範囲が異なります。

古いWordPressサイトと新しいWordPressサイトが同じサーバーに混在している場合、新しいサイトに合わせてPHPを上げると、古いサイトだけが動かなくなることがあります。反対に、古いサイトに合わせてPHPを据え置くと、新しいサイトのセキュリティやプラグイン対応に影響します。

このような状態では、サイトごとにPHPバージョンを分けられるサーバー設定を使うか、古いサイトを改修してから更新します。長期間更新していないサイトが残っている場合は、PHP更新をきっかけにサイト整理やサーバー分離を検討してもよいでしょう。

まとめ

PHPバージョン更新は、セキュリティとサイトの継続運用に関わる大切な保守作業です。ただし、WordPress本体、テーマ、プラグイン、問い合わせフォームの状態を確認せずに切り替えると、表示エラーやフォーム停止につながることがあります。

更新前には現在の状態を記録し、バックアップと復元方法を確認し、可能であれば検証環境で試します。IT担当者がいない会社では、更新作業そのものよりも「問題が出たときに戻せる状態」を作ってから進めることが重要です。