会社のWebサイトとメールが同時に使えなくなり、ドメインの更新忘れに気づいた場合は、サーバーやDNSを変更せずに登録先を確認してください。復旧できる期限や費用はドメインの種類と管理会社によって異なります。管理画面へ入れない場合も、先に現在のレジストラへ連絡するのが安全です。
焦って新しいサーバーを契約しても、失効したドメインの名前解決は戻りません。最初にドメインがまだ自社名義で復旧できる状態かを確定し、その後にWebとメールを別々に確認します。
最初にサーバー障害とドメイン失効を切り分ける
ドメインの契約先へログインします。対象ドメインの有効期限・請求状況・登録状態を確認してください。更新案内メールだけを根拠にすると、すでに支払った請求や別ドメインの通知と取り違えることがあります。契約画面で対象文字列を確認し、会社が登録者であることまで確かめます。
管理画面へ入れないときは、ICANN LookupなどのRDAP検索で登録状態とレジストラを調べられます。ただし、ここで分かるのは登録情報の一部です。復旧できる期限、費用、本人確認の方法はレジストラへ問い合わせます。.jpなどの国別ドメインは、ICANNのgTLD向けルールをそのまま当てはめず、指定事業者の規約を確認してください。
Webだけが止まり、独自ドメインメールは届いている場合は、失効以外の可能性もあります。反対にWebとメールが同じ時期に止まり、管理画面で期限切れが表示されているなら、ドメイン側の復旧を優先します。この段階ではネームサーバーやAレコードを触りません。元の設定まで変えると、更新後に残った問題を切り分けにくくなります。
復旧期限を一律の日数で判断しない
失効後の状態は一つではありません。レジストラが更新を受け付けている段階なら、管理画面から通常更新または期限後更新を行える場合があります。
決済前に対象ドメインと更新年数を確認します。期限後の追加費用も見てください。自動更新を設定していた場合は、カードの有効期限や決済エラーも確認します。
gTLDでは、削除後にredemptionPeriodと呼ばれる復旧期間へ入ることがあります。ICANNの失効登録回復ポリシーでは、対象となるgTLDに削除後30日のRedemption Grace Periodを設けています。この段階は通常更新と異なり、レジストラへの復旧依頼と追加費用が必要になることがあります。
一方、pendingDeleteまで進んだドメインは、ICANNのEPPステータス解説でも復旧できない状態とされています。数日後の削除を待って再登録を試す行為は、元の契約を戻す手続きではありません。第三者が取得する可能性もあります。
会社名や商標に関係する重要なドメインなら、非公式な取得代行へ急いで依頼しないでください。先にレジストラと社内の責任者へ状況を共有します。
更新手続きでは名義と連絡先も確認する
更新できる状態なら、登録先が案内する方法で手続きを進めます。制作会社や退職した担当者のアカウントにドメインがある場合は、支払いだけを立て替えても管理問題が残ります。現在の登録者、管理アカウント、更新通知先が会社の管理下にあるかを同時に確認してください。
本人確認が必要な場合に備え、会社情報と契約時のメールアドレスを用意します。過去の請求書も探しておきます。
レジストラへはドメイン名と管理画面に表示される状態を伝えてください。停止に気づいた時刻と実施済みの操作も添えます。「サイトが見られない」だけより、復旧可能な状態かを早く確認してもらえます。
更新や復旧の決済が完了した画面は保存します。支払時刻・注文番号・問い合わせ番号を一つの記録にまとめます。処理が進まない場合に同じ説明を繰り返さずに済みます。
決済後もDNSが戻るまで設定を変えない
更新が完了しても、すべての利用者から同時にアクセスできるとは限りません。失効中にレジストラが名前解決を止めていた場合、更新後にその経路を戻す処理があります。さらに、停止中の応答や以前のDNS情報が利用者側のキャッシュへ残ることがあります。
ICANNの更新後も動かない場合の案内では、レジストラは更新後に名前解決経路を直ちに、または商業上合理的な範囲で速やかに戻すとされています。これは、閲覧者のキャッシュまで同時に消えるという意味ではありません。復旧待ちの間にネームサーバーを変更すると、失効前のDNSゾーンと新しいゾーンの差まで問題へ加わります。
まず契約画面で有効になったことを確認し、元のネームサーバーが登録されているかを見ます。契約情報が正常なのに長時間名前解決が戻らない場合は、記録した注文番号を添えてレジストラへ問い合わせます。
復旧確認はWebサイトだけで終えない
トップページが開けた時点では、会社の業務が戻ったとは判断できません。ドメインはWeb以外にも使われます。メール・問い合わせフォーム・SSL証明書・外部サービスの認証が代表例です。利用者のネットワークによってキャッシュ状態が異なるため、社内回線と携帯回線など条件を変えて確認します。
復旧後は次の項目を実際に操作してください。
- [ ]
https://でトップページと代表的な下層ページが開く - [ ] 外部のメールアドレスから独自ドメイン宛へ送信し、受信できる
- [ ] 独自ドメインから外部宛へ送信し、返信まで届く
- [ ] 問い合わせフォームを送信し、通知と自動返信を確認できる
- [ ] WordPress管理画面や業務で使うサブドメインへ接続できる
証明書の更新処理が失効中に失敗していた場合は、DNSが戻った後もHTTPSの警告が残ることがあります。メールも、社内同士の送信だけでは外部配送を確認できません。外部アドレスとの往復とフォーム送信まで成功した時点を復旧完了として記録します。
再発防止は自動更新だけに任せない
自動更新は有効ですが、登録カードの期限切れや利用上限、通知先メールの停止までは防げません。更新日・登録先・支払方法をドメイン台帳へ残します。登録名義と通知先も記録し、少なくとも2人が参照できるようにします。パスワードそのものは台帳へ平文で書かず、会社のパスワード管理方法に合わせます。
通知先には、退職で失われる個人アドレスではなく、会社が引き継げるアドレスを使います。ただし、そのアドレスが失効対象と同じドメインだけに依存していると、障害時に通知を受け取れません。管理用には別ドメインや信頼できる外部メールも登録し、レジストラが許す範囲で複数の連絡経路を確保します。
年に一度は、自動更新の状態と次回更新日を確認してください。カード有効期限・登録者情報・管理画面へ入れる担当者も見直します。更新日の30日前を社内予定に登録し、期限前の通知を受け取った人が完了記録まで残します。この運用により、支払ったつもりのまま確認が途切れることを防げます。