ファイル権限は、サーバー上のファイルやディレクトリを誰が読み・書き・実行できるか決める仕組みです。WordPressの更新失敗や403エラーで変更することがありますが、一律に777へ広げる方法は問題を隠すだけです。
先に確認するのは数値ではなく、ファイルの所有者と処理を行う利用者です。FTPで作業する人、PHPを動かすWebサーバー、その他の利用者では必要な権限が違います。対象サーバーの公式推奨を基準に、必要な場所だけを変更します。
三つの利用者区分と三つの操作を組み合わせる
一般的なファイル権限は、所有者・グループ・その他の三者へ設定します。それぞれに読取・書込・実行を許可するかを決め、数値表現では許可した操作を合計します。数字そのものより、誰へ何を許した結果かを読めることが重要です。
| 操作 | 通常ファイルでの意味 | ディレクトリでの意味 |
|---|---|---|
| 読取 | 内容を読む | 名前の一覧を見る |
| 書込 | 内容を変更する | 配下の作成・削除に関係する |
| 実行 | プログラムとして実行する | 配下へ入り対象へ到達する |
ディレクトリの実行権限は、プログラムを実行する意味だけではありません。配下のファイルへ到達するためにも関係します。そのため通常ファイルとディレクトリへ同じ数値を一括適用すると、不要な実行を許したり必要な通過を止めたりします。
所有者表示と権限表示は別の情報です。権限を広げても、更新処理と所有者の関係が合っていなければ根本原因は残ります。レンタルサーバーではPHPの実行方式が異なるため、別環境の推奨値をそのまま当てはめません。
WordPressが書き込む場所だけ理由を確認する
WordPress公式のセキュリティ資料は、ファイルへの書込許可を可能な限り絞る考え方を示しています。WordPress本体・管理領域・プラグインのファイルは、通常時に不特定の処理から書き換えられる必要はありません。
一方、画像アップロードの保存先やキャッシュ領域には、Webサーバーからの書込が必要になる場合があります。テーマ・プラグインの自動更新を使う構成でも書込主体を確認します。機能を使うために必要な範囲と、常時書込可能にする必要がある範囲を分けます。
wp-config.phpにはデータベース接続情報などが含まれるため、不要な利用者から読めないことが重要です。ただし固定値だけを見て変更すると、PHPが読めずサイト全体が停止します。サーバー事業者の推奨と現在の所有者を照合し、確認なしで厳しくしません。
777は原因調査を終わらせる値ではない
777は、所有者・グループ・その他へ読取・書込・実行を広く許す表現です。アップロードが一時的に通ることはありますが、Webアプリケーションや同居利用者から変更される範囲も広げます。共有サーバーでは特に、問題解決の常用値として扱えません。
更新できないときは、エラーメッセージと対象パスを記録します。保存容量・所有者・上位ディレクトリの通過権限・PHP実行ユーザーを順に確認します。WAFやプラグイン側の制限など、権限以外の原因も候補に残します。
一時的に書込を広げる必要がある場合は、対象・理由・終了時刻を決めます。作業後に元の値へ戻し、更新と公開表示を再確認します。「後で戻す」だけでは忘れるため、変更前の値を記録してから作業します。
再帰的な一括変更は対象を確定してから行う
ディレクトリ全体へ再帰的に権限を適用する操作は、対象を間違えると影響が広がります。WordPress本体だけのつもりで、同じ契約内の別サイトやバックアップまで変えることがあります。シンボリックリンクやマウントされた領域がある構成では、さらに慎重な確認が必要です。
最初に少数の対象で変更し、公開表示と更新処理を試します。通常ファイルとディレクトリは分け、設定ファイルやアップロード領域の例外も確認します。コマンド例をコピーする前に、絶対パスと対象件数を表示して範囲を確定します。
FTPで新しく置いたファイルだけ所有者や初期権限が違う場合もあります。既存ファイルをすべて変更する前に、新旧ファイルの差を比較します。アップロード方法を直さなければ、次の作業で同じ問題が再発します。
変更後は書けることと書けないことの両方を見る
変更後は、目的の操作が成功するか確認します。画像アップロード、プラグイン更新、キャッシュ生成など対象の機能を一つずつ試します。同時に、関係のない設定ファイルまで管理画面から変更可能になっていないかも見ます。
公開ページと管理画面を確認し、403や500が新たに出ていないことを確かめます。エラーログに権限拒否が残る場合は、その時刻と処理主体を調べます。ブラウザー表示だけで権限の正しさを判断しません。
更新後に作成された新しいファイルの所有者と権限も確認します。既存ファイルだけ直っても、生成規則が誤っていれば再発します。自動更新やバックアップが別の利用者で動く場合は、その処理も対象です。
変更記録を次の更新作業へつなげる
記録には対象パス・所有者・変更前後の権限を残します。変更理由・実施者・確認した機能・元へ戻した時刻も必要です。パスワードや設定ファイルの内容そのものを記録へ貼り付ける必要はありません。
制作会社へ作業を依頼する場合、接続アカウントの範囲は別に管理します。ファイル権限を広げて制作会社の接続問題を解消するのではなく、専用アカウントと対象ディレクトリを確認します。依頼終了後にはアカウントと変更した権限を両方見直します。
ファイル権限の安全性は、小さい数字ほど高いという単純なものではありません。WordPressが必要なファイルを読めて、必要な場所だけへ書ける状態が目標です。所有者と処理主体から理由を説明できる設定にすると、更新失敗と過剰権限を同時に避けられます。