会社のメインサイトのほかに、サービス別のランディングページや採用サイト、グループ会社のサイトなど、複数のWebサイトを運用している企業は少なくありません。複数のサーバーを契約するよりも、1つのサーバーにまとめる方がコストと管理の手間を減らせます。

この記事では、レンタルサーバーで複数のサイトを管理するための方法と注意点を整理します。

1つのサーバーで複数サイトを運用する仕組み

主要なレンタルサーバーは、1つの契約で複数のドメイン・複数のサイトを運用できる「マルチドメイン機能」を提供しています。

マルチドメイン機能とは

1つのサーバーアカウントに複数のドメインを追加し、それぞれ別のWebサイトとして表示する機能です。例えばexample.co.jpexample-recruit.co.jpを同じサーバー上で独立したサイトとして運用できます。

追加できるドメイン数はプランによって異なります(10〜無制限が多い)。ドメイン自体は別途取得が必要で、サーバーに「追加ドメイン」として登録することで有効化します。

サブドメインとの違い

recruit.example.co.jpのような形式で運用する場合はサブドメインです。サブドメインは追加ドメインと異なり、同じドメインの一部として扱われます。追加コストなく使えますが、独立したドメイン名ではないため、サービスの独立性を持たせたい場合は別ドメインを使うのが一般的です。

追加ドメインの設定手順

既存のサーバーに新しいドメインを追加してサイトを公開するまでの流れを説明します。

1. ドメインを取得する

まだ取得していないドメインは、お名前.comやムームードメインなどのレジストラから取得します。ドメインを取得したら、管理画面でDNSのネームサーバーを使用するレンタルサーバーのネームサーバーに向けます。

2. サーバー管理画面で追加ドメインを登録する

サーバーの管理画面(コントロールパネル)の「ドメイン設定」や「追加ドメイン」メニューから、取得したドメインを登録します。サーバーによって操作画面は異なりますが、ドメイン名を入力して登録するだけの場合がほとんどです。

3. ファイルをアップロードしてサイトを公開する

追加ドメインに対応したディレクトリ(フォルダ)が自動的に作成されます。そこにサイトのHTMLファイルをアップロードするか、WordPressをインストールすることでサイトを公開できます。

4. SSLを有効化する

追加したドメインにもSSLを設定します。Let's Encryptを使えば無料で取得できます。追加ドメインのSSLは、メインドメインとは別に個別で設定が必要なサーバーがほとんどです。

WordPressを複数運用する場合の選択肢

複数のWordPressサイトをまとめて管理する方法には、次の2つのアプローチがあります。

個別のWordPressをドメインごとにインストールする

最もシンプルな方法です。ドメインごとに独立したWordPressをインストールし、それぞれを独立したサイトとして管理します。

設定・テーマ・プラグインが独立しているため、一方のサイトの変更が他方に影響しません。ただし、WordPressのアップデートやバックアップはサイトごとに行う必要があります。

WordPressのマルチサイト機能を使う

WordPressには、1つのインストールで複数のサイトを管理できる「マルチサイト(Multisite)」機能があります。ネットワーク管理者が全サイトを一括管理でき、プラグインやテーマを共通化できます。

ただし、マルチサイトの設定・管理にはWordPressの専門知識が必要です。1サイトに問題が起きたときの影響が他サイトに及ぶリスクもあるため、IT担当者がいない中小企業には個別インストールの方が管理しやすい場合がほとんどです。

複数サイトを管理するときの注意点

複数サイトをまとめて運用するメリットがある一方、管理の複雑さも増します。

ディスク容量と性能への影響

サイト数が増えるとディスク容量の消費が増えます。特に画像や動画を多く使うサイトが複数ある場合は、プランのディスク容量の上限に余裕があるかを確認してください。

また、共有サーバーではすべてのサイトが同じリソース(CPU・メモリ)を使います。アクセスが多いサイトと少ないサイトが混在している場合、多いサイトの影響が他サイトの表示速度に出ることがあります。

バックアップ管理の複雑化

サイトが増えるほど、バックアップすべきデータも増えます。サーバーの自動バックアップはサーバーアカウント全体をカバーするため、全サイトのデータが含まれていれば問題ありません。WordPressのバックアッププラグインを使う場合は、サイトごとに個別設定が必要になります。

ドメインの有効期限の管理

複数ドメインを運用すると、それぞれの有効期限が異なります。更新を忘れてドメインが失効すると、そのドメインのサイトとメールが使えなくなります。すべてのドメインの有効期限を一覧化し、更新の通知が届くメールアドレスを定期的に確認する体制を整えてください。

アクセス権限の管理

複数のサイトを制作会社や社内スタッフと管理する場合、誰がどのサイトにアクセスできるかを整理しておきましょう。サーバーのサブアカウント機能を使って、特定のディレクトリにのみアクセスできるFTPアカウントを作ることで、権限を分けることができます。

まとめ

1つのレンタルサーバーで複数のサイトをまとめて管理することは、コストと管理の効率化に有効です。追加ドメインの設定・個別WordPressのインストール・SSL設定という基本の手順を把握しておけば、サイトを増やしても対応できます。

ドメインの有効期限管理・バックアップ・アクセス権限の整理を合わせて行うことで、サイトが増えても混乱なく運用できる体制になります。