「前の担当者が全部管理していて、どこに何があるか分からない」──このような状況は、担当者の退職・異動のたびに繰り返されます。Webサイトの運用情報を引き継ぎ資料にまとめておくことで、担当者が変わってもスムーズに対応できる体制を作れます。
この記事では、Webサイト引き継ぎ資料に記載すべき項目と、作成・管理の進め方を整理します。
引き継ぎ資料を作るタイミング
理想的には、担当者が在任中に資料を整備しておくことです。退職・異動が決まってから慌てて作ろうとすると、情報が十分に揃わないことがあります。
次のタイミングが資料整備のきっかけとして適しています。
- 現担当者の退職・異動が決まったとき
- 新たに社内でWeb担当者を任命したとき
- サーバー更新・リニューアルなど大きな作業が完了したとき
- 制作会社から管理を引き継いだとき
資料を一度作ったら終わりではなく、変更があるたびに更新する運用が重要です。
引き継ぎ資料に記載する項目
引き継ぎ資料には「どこに何がある」「誰がどのアカウントを持っている」を一覧化します。
サーバー情報
レンタルサーバーのアクセス情報を記載します。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| サービス名 | エックスサーバー、ConoHa WINGなど |
| 管理画面URL | コントロールパネルのURL |
| ログインID | 管理アカウントのID |
| パスワード | ※パスワード管理ツールで管理し、保存場所のみ記載 |
| 契約プラン | プラン名と月額 |
| 更新日 | 次回更新の年月 |
| 支払い方法 | クレジットカードの名義・末4桁など |
| FTPホスト名 | FTP接続に使うホスト名 |
| FTPユーザー名 | FTPアカウントのID |
| サポート連絡先 | 電話番号またはサポートページURL |
ドメイン情報
使用しているドメインごとに記載します。複数ドメインがある場合は一覧化します。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| ドメイン名 | example.co.jp など |
| 管理会社 | お名前.com、ムームードメインなど |
| 管理画面URL | ドメイン管理会社の管理画面URL |
| ログインID / パスワード | ※保存場所のみ記載 |
| 更新日(有効期限) | 年月日 |
| ネームサーバー | 現在のネームサーバーの設定値 |
| 更新通知メール | 更新案内が届くメールアドレス |
メール情報
自社ドメインのメールアカウントを一覧化します。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| メールアドレス | info@example.co.jp など |
| 利用者 | 担当部署または担当者名 |
| 受信プロトコル | IMAPまたはPOP3 |
| 受信サーバー | ホスト名・ポート番号 |
| 送信サーバー(SMTP) | ホスト名・ポート番号 |
| パスワード | ※保存場所のみ記載 |
| 利用端末 | PC・スマートフォンなど |
Google WorkspaceやMicrosoft 365を使っている場合は、ライセンス数・契約者情報・管理コンソールのログイン情報も記載します。
WordPress情報
WordPressを使っている場合は、以下を記載します。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 管理画面URL | https://example.co.jp/wp-admin/ など |
| 管理者ユーザーID | 管理者権限を持つアカウントのID |
| パスワード | ※保存場所のみ記載 |
| テーマ名 | 使用中のテーマとバージョン |
| 主要プラグイン | 名前・役割・有料/無料の別 |
| バックアップ方法 | サーバー自動 / プラグイン / 頻度 |
| 更新ルール | 誰がどの頻度でアップデートを確認するか |
制作会社・委託先情報
制作会社やIT支援会社に業務を委託している場合は、担当者と権限範囲を明記します。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 会社名 | 制作会社名 |
| 担当者名・連絡先 | 電話・メールアドレス |
| 委託範囲 | コンテンツ更新・セキュリティ管理など |
| 付与しているアカウント | FTPアカウント・WordPressアカウントなど |
| 契約内容 | 保守契約の有無・月額・更新月 |
パスワードの記載方法
引き継ぎ資料にパスワードを直接書くのはセキュリティ上のリスクがあります。代わりに、次のいずれかの方法をとることをおすすめします。
パスワード管理ツールを使う
1Password・Bitwarden・LastPassなどのパスワード管理ツールにすべてのパスワードを登録し、資料には「パスワードは社内の○○(ツール名)を参照」とだけ記載します。ツール自体のアクセス権限を管理することで、誰がどの情報にアクセスできるかを管理できます。
資料本体とパスワードを分けて管理する
引き継ぎ資料の本体(サービス名・URLなどの基本情報)は共有しやすい場所に保管し、パスワードは別の厳重に管理された場所(社内のセキュリティポリシーに従った共有保管庫など)に保管します。
引き継ぎ資料の保管方法
資料を作っても、見つからなければ意味がありません。保管場所をあらかじめ決めておきましょう。
保管場所の選び方
次の基準を満たす場所に保管します。
- 担当者が変わっても継続してアクセスできる(個人のPCやDropboxではなく、会社として管理できる場所)
- アクセス権限を特定の担当者に絞れる
- バックアップが取られている
社内の共有ドライブ(Google DriveやSharePointなど)の特定フォルダに保存し、アクセス権限を絞るのが一般的な方法です。
更新ルールを決める
資料は作成時点の情報であるため、変更があった場合に更新されないと意味がなくなります。次のルールを決めておきましょう。
- 変更発生時(パスワード変更・更新日変更・制作会社変更など)は即時更新する
- 年1回(サーバー更新のタイミングなど)に棚卸しで内容を確認する
- 更新した場合は更新日時と更新者を記録する
まとめ
Webサイトの引き継ぎ資料は、担当者交代を円滑にするだけでなく、障害対応や外部委託先の管理にも役立ちます。サーバー・ドメイン・メール・WordPressの4つをカバーした資料を作り、パスワードは管理ツールで管理する体制を整えてください。
現在「何がどこにあるか整理できていない」という状態であれば、まず現状確認から始めることをおすすめします。専門家に状況の整理を依頼することで、漏れなく情報を揃える助けになります。