Webサイトの引き継ぎ資料には、契約先と更新期限、普段の作業、困ったときの連絡先が分かる情報があれば役立ちます。すべての技術を説明する必要はありません。新しい担当者が「自分で行うこと」と「保守会社へ頼むこと」を区別できる資料を目指します。

まず概要を1ページにまとめ、長い操作手順は別の資料へリンクする形が扱いやすいかと思います。パスワードや秘密鍵は本文へ載せず、安全に管理する保管先を示します。

最初の1ページに載せるもの

以下は会社サイトを想定した記載例です。項目が多すぎる場合は、使っていないサービスを省いて構いません。

項目記載する内容の例
対象サイトURL、WordPressを使用しているか
契約サーバー・ドメインの契約先、会社名義か、更新期限
通知と支払い更新案内が届く先、支払い方法、請求書の取得場所
普段の作業お知らせは広報が投稿、プログラム更新は保守会社へ依頼
認証情報保管庫内の項目名、利用できる人
困ったとき保守窓口、連絡時に伝えるURLと発生時刻
残っている問題調査中の不具合、依頼先、返答待ちの内容

この表に実際のパスワードは書きません。契約番号や管理画面のURLも社内用の情報として扱い、公開サイトに置かないようにします。

サーバーとドメインは別の契約かもしれません

サーバー、ドメイン、DNS、メールがすべて同じ会社にあるとは限りません。例えばWebサイトはレンタルサーバー、メールはGoogle Workspace、DNSは別会社という構成もあります。

サービス名と管理画面のURLが分かれば、次の担当者が問い合わせ先を探しやすくなります。複雑な構成図まで作らなくても、「Webサーバーを解約してもメール契約は残る。ただしDNSは別に管理している」という短い説明が役立ちます。

制作会社へ任せている場合は、何を依頼できるかも記載します。サイトの文章修正と、WordPressのプログラム更新では、契約上の対応範囲が違うことがあるためです。

操作手順は、普段使うものから残す

お知らせを投稿する担当者なら、ログイン、下書き、画像追加、公開後の確認が分かれば日常の作業を始められます。保守会社へ任せているプログラム更新まで、自社向けの詳しい手順にする必要はありません。

手順が長い場合は、画面をすべて撮るより、迷いやすい箇所の画像を添える方が管理しやすくなります。画像にメールアドレスやトークンなどが写っていないかにも注意します。

契約更新など年に一度しか行わない作業は、更新案内の届く先と支払い方法が特に重要です。普段ログインできても、前任者のメールでしかパスワードを再設定できない状態では、担当交代後に困ることがあります。

不具合が起きたときの連絡先もあると安心です

専門知識がない担当者に、すべてのエラーを直す方法を引き継ぐ必要はありません。サイトが開かないときに、どこへ何を伝えるかが分かれば初動に役立ちます。

例えば「表示されないURL、気付いた時刻、エラー画面、直前に変更したことを保守会社へ伝える」という内容です。メールも止まる可能性があるなら、電話など別の連絡手段も記載します。

復元を自社で行う場合は、バックアップの場所だけでなく、戻せる範囲と復元手順へのリンクが必要です。注文や問い合わせが増えるサイトでは、古いデータへ戻すと新着分を失う可能性があります。分からない状態で復元を試すのではなく、担当する保守先へ相談できる案内にしておく方が安全です。

秘密情報は、資料とは別に管理する

パスワードや秘密鍵を共有資料へ貼り付けると、資料を受け取った人全員が使えてしまいます。会社で管理する保管庫などへ分け、資料には保管先と利用方法だけを記載します。

二要素認証を使っている場合は、前任者のスマートフォンがなくても管理を引き継げるかが確認点です。サービスの正式な管理者追加や回復方法を使い、共通の認証コードを広く配る方法は避けます。

新担当者が利用できることを確認してから、不要になった旧担当者の権限を止めます。まだ保守を続ける制作会社の権限まで消す必要はありません。

資料は一つの場所を正本にする

同じ手順がメール、チャット、共有ドライブに別々に残ると、どれが最新か分からなくなります。正本を一つ決め、他の場所からはリンクで案内すると更新漏れを減らせます。

資料ごとに細かな管理項目を増やすより、サーバーや担当者が変わったときに、契約先・連絡先・操作手順を直すことが大切です。最終確認日があれば、古い資料かどうかも判断しやすくなります。

交代前に新担当者が資料を見ながら普段の作業を一度試すと、説明の不足が見つかります。前任者が口頭で補ったところを短く書き足していけば、最初から完璧な手順書を作らなくても、使える引き継ぎ資料に近づきます。