共有サーバーとVPSの大きな違いは、専有できる資源より利用者が管理する範囲です。共有サーバーでは事業者がOSや共通基盤を管理します。VPSでは仮想サーバーを自由に構成できる代わりに、OSから上の更新と監視が利用者へ広がります。
会社案内や一般的なWordPressサイトなら、管理の負担が小さい共有サーバーが候補になります。独自のソフトウェアを動かしたいならVPSが向いています。VPSが常に高性能というわけではなく、必要な自由度と保守の負担で選択が変わります。
共有サーバーは共通基盤の管理を任せる
共有サーバーでは、複数の契約者が同じ基盤を利用します。利用できるPHPやデータベースなどは事業者が用意し、管理画面から設定します。OSの管理権限はありませんが、その分だけ更新や基本的な監視を事業者へ任せられます。
WordPressや会社案内サイトは、この仕組みで運用できることが多いです。一方、独自のサーバーソフトウェアや常駐処理を追加できない場合があります。例えば、指定のソフトウェアをOSへインストールする業務アプリでは、この制限が選択の分かれ目になります。
VPSは自由と一緒にOS管理を引き受ける
VPSでは、割り当てられた仮想環境へOSやソフトウェアを構成できます。独自アプリケーション、特別な実行環境、細かなネットワーク設定が必要な場合に選択肢になります。ただし初期構築が終わっても管理は続きます。
例えばOSに脆弱性が見つかったとき、管理を任せていないVPSでは利用者側で更新が必要です。接続を許可する通信の設定や、アプリケーションが止まったときの調査も管理範囲に入ります。事業者が物理機器を守っていても、その上で動かすものまで保守されるとは限りません。
自社でこの範囲を扱うのが難しい場合は、管理付きサービスや保守委託という選択肢もあります。ただし、VPSの基本料金にそれらの作業が含まれているとは限りません。
性能は専有という言葉だけで判断しない
VPSではCPUやメモリの割当が見えやすい反面、データベースやWebサーバーの設定が不適切なら性能を生かせません。共有サーバーでもキャッシュや基盤側の最適化により、一般的なWordPressを安定して配信できる場合があります。
たとえば画像が大きいために表示が遅いサイトは、VPSへ移しても画像の転送量は減りません。反対に共有環境で使えない処理が必要なら、VPSの自由度が役立ちます。性能の問題と機能制限の問題は分けて考える方がよいかと思います。
速度比較をするなら、同じアプリケーションとデータ量での測定が必要です。空のVPSと運用中の共有サーバーでは、処理内容が違うため性能差を判断できません。
月額ではなく管理を含む費用を比べる
VPSの表示価格が共有サーバーに近くても、初期構築と毎月の保守が別に必要です。監視・バックアップ・セキュリティ更新・障害対応を外部へ任せるなら、その費用を加えます。社内担当者の作業時間も運用費として考えます。
共有サーバーでは共通基盤の管理費が料金へ含まれますが、WordPress更新や制作物の修正までは含まれないのが一般的です。例えば月額の差が小さくても、VPSでOSの保守を別途依頼すると総額は変わります。サーバー代だけを比べたときと、管理を含めたときで安い方が逆になることもあります。
障害が起きたときの対応も違う
共有サーバーでは、基盤側の障害なら事業者が復旧を担います。ただし、自分で追加したプラグインだけの不具合は、サイト側で直す範囲になることがあります。
VPSでは、機器が正常でもOSやWebサーバーが止まればサイトを表示できません。こうした問題の調査も、管理契約がなければ利用者側の仕事になります。夜間の即時復旧が必要なサイトなら、その時間に対応できる保守の有無が重要です。すべての会社サイトに24時間の有人対応が必要という意味ではありません。
独自要件がなければ小さい管理範囲から始める
一般的な会社サイトや小規模なWordPressなら、要件を満たす共有サーバーから検討できます。VPSを選ぶ理由は、独自ソフトウェア・特別なネットワーク構成・共有環境では満たせない処理要件がある場合です。漠然とした将来性だけで管理範囲を広げません。
WordPressを公開するだけなら、OSから構築する自由は使わないことも多いはずです。一方、独自アプリケーションで必要な実行環境が共有サーバーにないなら、VPSを選ぶ理由がはっきりします。「法人だからVPS」ではなく、共有環境ではできないことがあるかが分かれ目です。